岡山県北部の山間の町、
監督は、日本映画学校を卒業したものの映画の夢を諦めかけていた黒部俊介。東京から移住した岡山で偶然ヒデさんと出会った黒部はビデオキャメラをたずさえて日本原に通い続けた。コモンズと占領。安保法制下の米軍と自衛隊。土地利用規制法が孕む危険。改憲が具体化していくなか、“国防”の名のもとで私たちが手放しはじめているものは何か。映画は、ヒデさんの息子の陽さんによるナレーションに導かれて、ゆらゆらと歩きはじめる。
こういう作品こそ、万難排してスクリーンでご堪能ください!
1980年東京都生まれ。2003年、早稲田大学第一文学部演劇映像専修映像学科卒業。2006 年、日本映画学校映像ジャーナルコース卒業。卒業後は映画の道をあきらめ、書店に勤務。福島第一原発事故を機に、2012年、岡山へ移住し結婚。精神障がい者の地域移行支援に従事。2018年、施設を退職し、食肉センターでアルバイトをしながら本作品の撮影を開始した。
1981年東京都生まれ。2005年、早稲田大学法学部卒業後、出版社に勤務。2012年に移住・結婚し、フリーランスに。ライター・エディターとして活動。
映画美学校修了後、フリーの録音・編集として活動。録音担当作に小林茂監督『風の波紋』(15)、福間健二監督『パラダイス・ロスト』(19)、戸田ひかる監督『My Love 日本篇』(21)、西原孝至監督『百年と希望』(22)など。整音担当作に小森はるか監督『息の跡』(16)、島田隆一監督『春を告げる町』(19)、松林要樹監督『オキナワ サントス』(20)、國友勇吾監督『帆花』(21)など。編集担当作に酒井充子監督『台湾萬歳』(17)、ラウラ・リヴェラーニ&空音央監督『アイヌ・ネノアン・アイヌ』(21)など。
1973年東京都生まれ。大学在学中よりミニシアター「BOX東中野」スタッフとして劇場運営に関わりつつ同事務所でテレビ番組、映画予告編制作を始める。99年よりフリーランスとなり、ドキュメンタリー映画の編集、プロデュースを中心に活動。主な長編映画作品に、佐藤真監督『花子』(01)、『阿賀の記憶』(04)、『エドワード・サイード OUT OF PLACE』(05)、小林茂監督『チョコラ!』(08)、『風の波紋』(15)、真鍋俊永監督『みんなの学校』(14/編集協力)、小森はるか監督『息の跡』(16)、戸田ひかる監督『愛と法』(17)、『My Love 日本篇』(21)、原一男監督『ニッポン国VS泉南石綿村』(17)、『水俣曼荼羅』(20)、島田隆一監督『春を告げる町』(19)、日向史有監督『東京クルド』(21)、國友勇吾監督『帆花』(21)など。
地域 | 日時 | 会場 | 問い合わせ |
岡山県岡山市 | 【岡山映画祭】にて上映! 2024年11月9日(土)朝10:00~ ★上映後、黒部俊介監督によるトーク |
岡山県天神山文化プラザ | 主催:岡山映画祭実行委員会 〈お問い合わせ〉 TEL&FAX:086-252-7606(吉富/ 映画の冒険) メール:ofilmfes★gmail.com ※メールは★を@に変えてご送信ください。 |
❖映画祭詳細は【こちら】 *岡山映画祭は10月12日(土)よりスタート! *11月10日(日)16:00~17:00、天神山文化プラザにてシンポジウム「映画はショットだ!」開催 (登壇:三宅唱監督、小森はるか監督、黒部俊介監督) |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
北海道 | シアターキノ | 011-231-9355 | <上映終了> 12月9日(金)のみ |
【キノフライデーシネマ】にて1回限りの特別上映 | |||
宮城 | フォーラム仙台 | 022-728-7866 | <上映終了> 10月21日(金)~11月3日(木祝) |
備考: | |||
福島 | フォーラム福島 | 024-533-1515 | <上映終了> 23年1月27日(金)〜2月2日(木) |
備考: | |||
福島 | 湯本駅前ミニシアターkuramoto | 080-2109-6385 | <上映終了> 23年3/3㊎、3/6㊊、3/9㊍、3/17㊎、 3/20㊊、3/24㊎、3/28㊋ ❖「いわきPIT」にて出張上映 23年3/7㊋、3/14㊋、3/21㊋、3/26㊐、3/28㊋ |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
東京 | ポレポレ東中野 | 03-3371-0088 | <上映終了> 2023年10月28日(土)〜11月3日(金・祝) |
東京 | Stranger | 080-5295-0597 | <上映終了> 23年1月9日(月祝)・11日(水)・13日(金)・14日(土)・18日(水) |
【舞台挨拶】 ★1/14(土) 17:35の回上映後:黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 | |||
神奈川 | 横浜 シネマ・ジャック&ベティ | 045-243-9800 | <上映終了> 10月1日(土)〜10月14日(金) |
備考: | |||
神奈川 | あつぎのえいがかんkiki | 046-240-0600 | <上映終了> 10月29日(土)〜11月11日(金) |
備考: | |||
埼玉 | 深谷シネマ | 048-551-4592 | <上映終了> 23年2月5日(日)~2月11日(土) |
備考:*火曜定休 | |||
群馬 | シネマテークたかさき | 027-325-1744 | <上映終了> 11月11日(金)〜11月17日(木) |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
愛知 | 名古屋シネマテーク | 052-733-3959 | <上映終了> 9月24日(土)〜10月7日(金) |
【初日舞台挨拶】 ★9/24(土) 14:10の回上映後:黒部俊介監督、黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 | |||
富山 | ほとり座 | 076-422-0821 | <上映終了> 1月14日(土)~1月20日(金) |
備考: | |||
新潟 | シネ・ウインド | 025-243-5530 | 近日公開 |
備考:*火曜定休 | |||
長野 | 松本CINEMAセレクト | 0263-98-4928 | <上映終了> 1月8日(日)のみ |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
大阪 | 第七藝術劇場 | 06-6302-2073 | <上映終了> 9月17日(土)〜10月7日(金) |
【舞台挨拶】 ★9/18(日) 11:30の回上映後:内藤秀之さん、黒部俊介監督、黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 | |||
大阪 | シアターセブン | 06-4862-7733 | <上映終了> 10月22日(土)~10月28日(金) |
備考: | |||
京都 | 京都シネマ | 075-353-4723 | <上映終了> 10月7日(金)〜10月20日(木) |
【舞台挨拶】 ★10/16(日) 16:55の回上映後:内藤秀之さん、黒部俊介監督による舞台挨拶 | |||
兵庫 | 元町映画館 | 078-366-2636 | <上映終了> 1月7日(土)〜1月13日(金) |
【舞台挨拶】1/7(土)11:00の回上映後:黒部俊介監督、黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 | |||
兵庫 | シネ・ピピア | 0797-87-3565 | <上映終了> 23年2月10日(金)~2月16日(木) |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
岡山 | 円結 marumusubi | 090-8110-6987 | <上映終了> 4月14日(金)~17日(月) 4月22日(土)~25日(火) 各日13:00~/17:00~ *定員13名様(予約制) |
【イベント】 ★黒部俊介監督・黒部麻子プロデューサー ウエルカムパーティー★ 4月14日(金)17:00の回上映後(21時頃終了)*参加費3,000円 ★トークプログラム★ 4月15日(土)13:00の回上映後、黒部俊介監督によるトーク 4月17日(月)13:00の回上映後、黒部麻子プロデューサーによるトーク 4月23日(日)17:00の回上映後、黒部俊介監督によるトーク |
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岡山 | シネマ・クレール | 086-231-0019 | <上映終了> 11月28日(月)〜12月1日(木) ※平日のみ |
【舞台挨拶】 ★10/8(土) 12:10の回上映後:内藤秀之さんほか出演者のみなさま、黒部俊介監督、黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 | |||
広島 | 横川シネマ | 082-231-1001 | <上映終了> 10月28日(金)~11月10日(木) |
【舞台挨拶】 ★11/3(木・祝) 10:00の回上映後:黒部俊介監督、黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 | |||
広島 | シネマ尾道 | 0848-24-8222 | <上映終了> 1月22日(日)のみ |
【舞台挨拶】 ★2023年1/22(日) 11:20の回上映後:黒部俊介監督、黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 | |||
愛媛 | シネマルナティック | 089-933-9240 | <上映終了> 11月19日(土)~11月25日(金) |
備考:*火曜定休 【舞台挨拶】 ★11/19(土) 10:00の回上映後:黒部俊介監督、黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
鹿児島 | ガーデンズシネマ | 099-222-8746 | 2023年7月16日(日)のみ |
備考: | |||
福岡 | KBCシネマ | 092-751-4268 | <上映終了> 10月28日(金)〜11月3日(木祝) |
【舞台挨拶】 ★10/29(土) 14:10の回上映後:黒部俊介監督、黒部麻子プロデューサーによる舞台挨拶 | |||
佐賀 | シアター・シエマ | 0952-27-5116 | <上映終了> 12月2日(金)~12月8日(木) |
備考: | |||
沖縄 | 桜坂劇場 | 098-860-9555 | <上映終了> 23年1月28日(土)~2月17日(金) |
【舞台挨拶】 ★2023年1/28(土) 13:00の回上映後:内藤秀之さん、黒部俊介監督による舞台挨拶 |
コメント
この映画に登場するのはみんなどこか不器用で、でも濃厚に命を輝かせている人間や牛やサツマイモ。さながら味わい深い命の低温殺菌牛乳のような作品だ。
結局、長く基地反対運動を続けられるのは人間力豊かな人たちだけなんだなぁと、辺野古と日本原闘争を重ねてしみじみ思う。
秀さん一家の何気ない日常が命の讃歌となり、地域に、人々の心にゆっくりと真っ当な楔を打ち込んでいく。真っ当とは、誰の暮らしも軍事基地に蹂躙されないという当たり前のこと。きっとここには、支援のつもりで行った側が導かれ、整ってしまうような磁場がある。大スクリーンでそのシャワーを浴びてみたい。
三上智恵
映画監督、ジャーナリスト
人の命を守る医者。その医者になるため、医学生となったヒデさんがどうして牛飼いに?
餌をやり、牛乳を採り、糞尿は近所の田畑に無料で撒く。ヒデさんたちが育てた牛を食べて私たちは生きている。
耕作権を持つ演習場に入ろうとする息子のダイチさんを自衛隊員が止めた。
抗議するダイチさんの質問に、言い淀み答えられない自衛隊員。私が自衛隊員だったら…やっぱり答えられません。
松元ヒロ
コメディアン
牛飼いの秀さんは、より実践的な形で青年時代の夢を叶えた。それは医者になることではなく、病を得た人の力になるという願い。地位や名誉、見せかけとは無縁の、いのちへの敬慕と研ぎ澄まされた信念。日本という名の平原に光り輝く一点の星。
纐纈あや
映画監督
主人公ヒデさんの次男・陽さんの繊細なアンテナは本能的に暴力を嫌う。「なんでお父さんは闘うの?」。おそらく陽さんが幼少期に抱えこみ、心の中でこんがらがってしまったそんな気持ちに触れて、黒部監督は撮影をはじめたのではないか。だから、映画全体が優しい。
代島治彦
映画監督/プロデューサー
初めて映画を撮ろうとした作り手が、たぶんそうとは知らずに家庭用カメラを向けてしまったのは、戦後ニッポンの矛盾が凝縮したような田舎町。
その理解しがたい現実の前に、作り手は、なすすべもなく立ち尽くす。
想田和弘
映画作家
岡山出身です。山の牛乳は本当に美味しかったです。素朴で温厚な奈義町出身の知り合いもいました。が、日本原のことは全く知りませんでした。おおらかな山の暮らしの中に、個人と社会、人間と人間、動物と人間の間の矛盾、欺瞞、暴力を観ました。共生・共存の可能性について、特別出演の(?!)山本先生と芳子さんに語っていただきたいなあ。
柏木規与子
太極拳師範、想田観察映画制作
医学部を中退し、大きな力に揺るぎなく抗いながら、牛飼いの生活を50年。偉ぶらず、必要で大切なことに取り組み続ける内藤さんの姿勢は、聖人のようであり、えらくパンクなようでもありました。自分が大尊敬する精神科医が登場されたのには驚いたけど、地味で地道な試みを続ける強さのある人同士は共鳴するもんなんだなぁと納得しました。
星野概念
精神科医 など
農はどうしてなのか戦争と近い。
「守る」ということを前に、あの「柵」を前に、あっちとこっちでなにが違うんだろう。
日本原と人と牛と稲とカメラに呼ばれた言葉が、直接僕に問いかけてきた。
平和への願い。悲しみという軸。
中村明珍
農家 兼 僧侶
「効率良くスマートに」とは真逆の生き方の記録で、目立つイシューもありません。ただ、青春期の挫折後、権力への抵抗を牛飼いで続ける被写体と、あくまで自己流の撮影と編集を貫く監督、この両者の正直さが、都会でレトリックを弄しながら生きる僕にとても心地良く響いたのです。
大槻貴宏
ポレポレ東中野支配人
個人、共同体、市場、そして国家。画面に映し出される日本原の風景やヒデさんたちの内藤牧場の背後には、戦後日本という時間のなかで複雑に絡み合った歴史がある。個人や共同体が抱える物語・生業を、国家が圧し潰そうとする抑圧的な光景が、映画のなかに収められている。
しかし、そんな背景の下に登場する人々が、良い意味で緊張感の無い視線をカメラに投げかける場面が頻出するのがユニークである。どことなくユーモラスで無邪気な映画感覚に随所で「フフッ」と笑わされるうち、彼ら彼女らが住む日本原を監督と一緒に歩いているような気持ちに、いつの間にかなっていた。
具体的に「そこ」で生きている/いた人に、草や花や木に、動物たちに、まずは率直に触れてみることのかけがえのなさと、そして何より楽しさこそが、この映画には生まれていると思う。
コメカ(TVOD / 早春書店)
ライター、古本屋店主